股関節の科学〜内旋と外旋そして外転〜

スポンサーリンク
Anatomy

みなさん、
股関節の動きは理解できていますか?
なんか股関節の付け根が詰まるような感覚が…
お尻が硬いような気が…
うまく股関節にはまらない…
そんな経験や患者さんを見たことはありませんか?

うーん…よくわからないけど
とりあえずはお尻をぐりぐり・ヒップアップ・体幹系のエクササイズ
しようかなーってね。

今回はそんな悩みや疑問を解決し、
皆様と一緒に股関節を理解していきたいと思います。

そして、
今回のテーマは
「股関節の科学〜内旋外旋そして外転〜」
では考えていきましょう!!

なぜ内旋と外旋そして外転なのか?
おそらく機能的に考えるとあの筋が大きく関わっているのかな?
と考える人がいるのではないでしょうか?

その辺りも含めて色々考えていきたいと思います!!

では股関節の沼へ足を踏み込んでいきましょう!!

股関節の構造(骨)

そもそも股関節とはなんでしょうか?

“The hip joint is a ball and socket joint that is the point of articulation between the head of the femur and the acetabulum of the pelvis.” Gold M, 20211

簡単に訳すと
大腿骨頭と骨盤寛骨臼で構成されたボール&ソケット構造の関節
ですかね。
ではまずは骨盤・寛骨と大腿骨の構造を見ていきましょう。

そして次は大腿骨の形態も見ていきましょう。

骨盤や大腿骨のランドマークを把握することは触診はもちろんエクササイズを処方する上で必要不可欠になるのではないかと思います。
そしてここから付着する筋を触診したり、エコーで確認したりすることが大切なのではないかと思います。

股関節の構造(靱帯)

ではここからは股関節の関節包・靱帯について考えていきましょう。
股関節の関節包と靱帯ってややこしいですがとても重要ですよね。

まず、股関節関節包の内側は滑膜に覆われています。
そして滑膜の外側は腸骨大腿靱帯(Y靭帯)・恥骨大腿靱帯・坐骨大腿靱帯の3つの靱帯が補強しています。
この関節包と靭帯は一体化しており、関節包靭帯とも呼ばれています。
+@の補強として、関節包前方の一部は腸骨周囲筋小殿筋大腿直筋の反回頭があります。
(この大腿直筋の反回頭はまた後で出てきます。面白いですよ!!)
また、恥骨大腿靱帯の深層の線維は関節包の後下方、輪帯(zona orbicularis)と呼ばれる輪状の線維と入り混じっています。

これらの靱帯や周囲筋がどのポジションの最終制限要因になるかをNeumann, D. A. (2012). 筋骨格系のキネシオロジー2を参考に以下の表に表しました。

Neumann, D. A. (2012). 筋骨格系のキネシオロジー: カラー版. 医歯薬出版.を引用し、筆者が作成

この表は一覧に過ぎないので大体の参考として見ていただければと思います。

これらの靭帯・筋・骨形状を把握することがエクササイズや治療を行う上で必要になりそうですね。

頸体角と前捻角

股関節といえば、
大切な要素としてあるのが頸体角と前捻角でしょうか?

頸体角とは、
前額面上の大腿骨頸部と大腿骨骨幹部内側がなす角度です。
出生時ではこの角度の平均は約165-170°ですが、主に歩行中の筋活動や荷重が大腿骨頸部にかかるとこの角度が減少していきます。その後頸体角は成人の標準値である125°に達するまで減少を続けます。
下の図はそれぞれの分類を指したものになります。

ではなぜ、内反股か外反股ではどんな問題が生じてくるのでしょうか?

これには股関節外転力と大腿骨頸部の剪断力が関わっています。
ではまず内反股(caxa vara)をバイオメカニクス的に考えていきましょう。

この内反股は股関節外転筋群の機能的な長さを減少させる可能性があるため結果的に筋発揮能力の低下が起こる可能性があります。そのため、中殿筋跛行などが起こりやすい形態となります。

では次に外反股を見ていきましょう。

ここまでが股関節の頸体角の構造についてでした。

前捻角とは、
大腿骨頸部軸と大腿骨顆部横軸をなす角度のことを指します。
また、この前捻角があるため骨頭は少し前面は少し前に出ているような形になっています。
通常では大腿骨の内外側顆を貫く軸に対して頸部は数度前方を向きます。
一般的には約15°の前捻角が標準とされています。(8-20°と文献により異なるそうです。)

この基準である15°から逸脱してしまうことが異常とされます。
<15°:後捻
>15°:過前捻

股関節を上部から見た図

ちなみに、
一般的には健常な乳幼児の前捻角は約40°とされており、
成長に伴ってこの角度が減少していくと言われています。(16歳までに)
成人になっても過前捻があると股関節脱臼や変形性股関節症のなってしまう可能性が出てきてしまいます。

この過前捻の要因はさまざま考えられますが、
乳幼児期の姿勢や行動、
原始反射の残存具合、
出産時の状況(骨盤位分娩)などが考えられるのかな?と思います。

最近ツイッターでも話題になっていましたが、
この下のような姿勢(いわゆるおくるみ姿勢?)はあまり良くないと言われていますね。

真偽はわかりませんが、股関節の形成を考えると確かにそうなのかな?って感じもします。

さて、この前捻角には測定する方法があります。
それがCraig’s testと言われるものです。
このテストは被検者を腹臥位、膝関節屈曲90°姿勢で股関節を他動的に回旋させ、大転子が最も外側の位置にて測定を行い、股関節回旋角度を前捻角とする測定方法です。

https://www.youtube.com/watch?v=QNtBBV-DcBI
Reference: Orthopedic Physical Assessment By David J. Magee, BPT, PhD, CM

このテストを用いて前捻角の角度を確認することができますね。

筋力や靭帯の状態だけでなく、骨の形状や特性も理解していくとより考察できる幅が広がりそうですね。
骨的に可動域制限があり、そもそもの可動域が取れないのに無理に可動域を取ろうとしたり物理的に負荷の高い肢位でのスクワットなどを予防できそうですね。

内旋と外旋そして外転を考えていく上でこの角度は切っても切れない関係になりそうです。

股関節周囲筋群

さてさて、ここからは股関節周囲筋群をみていきましょう。
(この章はなかなかボリューミーです!!)

それでは、内旋と外旋そして外転に分けてみていきましょう。
最初に言っておきますが、
今回のテーマのポイントである内旋・外旋そして外転の意味として
股関節の外転筋群の中で外転のみという筋は一つも存在しない
(逆に言うと内旋のみ・外旋のみもないということです)
ということを念頭に置いてみていただければと思います。

今回は解剖学的肢位から考えた作用で分けてみました。
内旋・外旋・外転を順番に見ていきましょう。

股関節内旋筋群

まずいきなりですが、
解剖学的肢位において内旋を主作用とする股関節筋は存在しません。
補助的な役割としては、
中殿筋と小殿筋の前部線維・大腿筋膜張筋・長内転筋・短内転筋・恥骨筋
が該当します。
そして、
股関節屈曲60°以上では中殿筋と小殿筋後部線維・梨状筋・大殿筋前部のような外旋筋群が内旋筋に変わります。(なんてややこしいのだ…)

ではでは、
それぞれの筋を見ていきましょう。

中殿筋前部線維
そもそも前部線維とはどこからどこなのでしょうか?
Gottschalk, 1939ら3の図が一番わかりやすいかと思いますのでみていきましょう。(美しい…)

Gottschalk F, Kourosh S, Leveau B. The functional anatomy of tensor fasciae latae and gluteus medius and minimus. J Anat. 1989 Oct;166:179-89. PMID: 2621137; PMCID: PMC1256751.figure.5 から引用

上のわかりやすい図であるようにAnterior partが前部線維になります。
この中殿筋前部線維の機能としては股関節の外転・内旋・屈曲になります。
実際に見供ら, 20174の文献では中殿筋前部線維では股関節外転・屈曲で作用することが示唆されており、後部線維では股関節外転と伸展での作用が見られているとされていました。

中殿筋には前部・中部・後部線維があるのは知っているけど小殿筋も別れているのでしょうか?
答えとしてはYesです。

Beck M, 2000ら5による9体の献体と16側の股関節を調査した研究では小殿筋は前部と後部線維があり、それぞれで役割があるとされています。
これらはそれぞれ複数の機能を持ち、ポジションによって活動が変わります。
例えば股関節屈曲位では前部線維が内旋へと機能が強まるなど。

一般的に前部線維は中殿筋前部線維と同様に股関節屈曲・内旋・外転の役割があるとされています。
(後部線維は伸展・外旋・外転)

やってきました。
普段は緊張しやすい、腸脛靱帯との連結があり厄介者とされていますが
大腿筋膜張筋は重要な内旋筋でもあるのです。
この筋に関しては股関節の外転動作で深く考察していきたいと思います。

長内転筋・短内転筋・恥骨筋
あれ?内転筋は大腿骨の後面についてるから外旋筋ではないのですか?
と思うと思うかと思います。

しかし、ここには大腿骨の前彎と股関節長軸の回転軸が大きく関わっています。
大腿骨は前方に前彎しており、この前彎が粗線のほとんどを股関節長軸の回転軸に対して前方に位置させます。
もし、この位置関係が姿勢不良や形態変化により崩れれば内転筋は外旋筋になるのではないかと筆者は考えております。

そのため長内転筋のような内転筋が内旋を発生させるモーメントアームを伴って関節を動かします。

Neumann, D. A. (2012). 筋骨格系のキネシオロジー2を参考に自分でも
股関節の力線の図を作成して見ました。
点線が内旋筋を示していて、青の点が回転軸になります。

Neumann, D. A. (2012). 筋骨格系のキネシオロジー: カラー版. 医歯薬出版.を参考に筆者が作成


青色の回転軸の後方が外旋筋・前方が内旋筋とわかりやすいかと思います。
これは解剖学的肢位でのことなので屈曲伸展などの動作によってこの回転軸は変わるのでそれぞれの筋の作用も変わるということですね。

股関節外旋筋群

主要な股関節の外旋筋は、
大殿筋と6つの短外旋筋(いわゆる深層外旋六筋)のうちの5つの筋とされています。

補助的な外旋筋群として
中殿筋と小殿筋の後部繊維、縫工筋、大腿二頭筋長頭と外閉鎖筋があります。
ここでは大殿筋と短外旋筋群を考察します。

ではまずは大殿筋について考えていきましょう。

単一筋として人体で最大の体積を誇り、様々な動作と関わりの強い筋です。

大殿筋と言えば何といっても最大の股関節伸展筋であり、また股関節の運動軸を中心に分けた上下に分けた上部線維と下部線維が有名ですよね。
また、仙腸関節や腰部周辺を安定させるStabilizerとしての役割も大切です。

では次に5つの短外旋筋を考えていきましょう。

いきなりやってきました。
外旋筋群で問題になりがちの筋である梨状筋!!
坐骨神経を圧迫して、梨状筋症候群を起こしてしまうこの筋!!
(坐骨神経と梨状筋についての考察は後ほどします。)

実は梨状筋は外旋作用に加えて外転作用もあります。
そして、この梨状筋は股関節屈曲位では股関節内旋筋として切り替わります。
(なのでよくある股関節屈曲外旋の梨状筋ストレッチは正しいということになりますね)

さてさて、
私が愛してやまないこの内閉鎖筋!!
この筋なくして股関節は語れないのではないかと思うくらい大切だと思う筋です。
この内閉鎖筋はとても特殊な筋で小坐骨切痕の硝子軟骨を滑車として約130°向きを変えます。
そしてそして、
この筋の重要なポイントとして
この筋にはFeedforward的な機能があり、股関節を等尺性に外転および外旋させる時、内閉鎖筋が先に活動するとされています。(Hodges PW, 20136)

Hodges PW, McLean L, Hodder J. Insight into the function of the obturator internus muscle in humans: observations with development and validation of an electromyography recording technique. J Electromyogr Kinesiol. 2014 Aug;24(4):489-96.から引用

つまりはこの筋が先行して活動し、関節の安定性を高めて他の筋群が活動できる環境を作っていると考えられます。
ちなみに「お尻の穴を閉めるようにしてー」というキューイングは「股関節を少し外旋させて内閉鎖筋を収縮させて骨盤をFeedforward的に安定させてー」とほぼ同じ意味だと思っております笑

そしてそして、
この内閉鎖筋の内側は内閉鎖筋膜が覆っていて肛門挙筋の付着部の一部となります。
おっ!!これは骨盤底筋と大きく関わってくるのではないか?
はい、すごく関わっています。
(ちなみに次の記事は骨盤底筋群について書いていこうと思いますので今回は割愛しますね)

この内閉鎖筋を適切な状態にしておくことが骨盤の安定にもつながってくるのかなと思います。

上双子筋は梨状筋と内閉鎖筋の間にある筋であり、下双子筋は内閉鎖筋と大腿方形筋の間にある筋です。
内閉鎖筋・上下双子筋を総称してtriceps coxae musclesと呼ぶそうです。
(日本語でなんて言うのかはわかりません。)
これはこの3筋が協同して外旋筋として働くからと言われています。Lezak B, 20227

この筋が意外にややこしかったりします。
異常な骨形態があり、大きな外旋を含む股関節動作をするときに
この筋が小転子と坐骨に挟まれることがあります。
これが反復的に起こってしまうことを坐骨大腿インピンジメントと言われます。Taneja AK, 20138
この症状は女性に多く、大腿方形筋の異常形態が原因と考えられているそうです。

この筋はよく仲間外れと言われています。
なぜ仲間外れなのでしょうか?
まず第一に外閉鎖筋の神経支配は他の短外旋六筋とは異なり、
内転筋群と同様に腰神経叢の閉鎖神経からの神経支配を受けています。
そのため、短外旋筋にまとめられるよりは内転筋に含められるのではないかと言われています。

そしてこの外閉鎖筋が意外に問題になることがあります。
この過緊張や収縮不全が起こることで大腿骨頭が前方に押し出されることが考えられます。
そのためこの筋の過緊張を取り除くことが骨頭の前方変位を解決する一つの方法でもありそうです。

ちなみにバレエダンサーの外閉鎖筋はその他のアスリートより大きいらしいですMayes S,20189
よく考えてみるとバレエの動作って股関節外旋が多いですもんね。

股関節外転筋群

さてさてついにやってまいりました。
股関節外転筋群!!
内旋と外旋、そして外転!!
ではまずは内転軸/外転軸を中心にあらわした図を見ていきましょう。

Neumann, D. A. (2012). 筋骨格系のキネシオロジー: カラー版. 医歯薬出版.を参考に筆者が作成

実線は外転筋・点線は内転筋を表しています。
骨頭の真ん中にある点は内転/外転の回転軸になります。

この股関節外転の主動作筋は中殿筋・小殿筋・大腿筋膜張筋です。
また補助筋として梨状筋・縫工筋・大殿筋上部線維があげられます。

中殿筋(前・中・後部線維)

Gottschalk F, Kourosh S, Leveau B. The functional anatomy of tensor fasciae latae and gluteus medius and minimus. J Anat. 1989 Oct;166:179-89. PMID: 2621137; PMCID: PMC1256751.figure.5 から引用


「あっ!!Knee-inしてる!!あなた中殿筋弱いのね!!」
「トレンデレンブルグ徴候だ!!あなたやっぱり中殿筋弱いのね!!」
果たしてそうなのでしょうか?

トレンデレンブルグ徴候=中殿筋が弱い
というのは安直すぎるというのが当たり前の世界だと思います。
このトレンデレンブルグというのは1895年にドイツの外科医であるFriedrich Trendelenburg氏が発育性股関節形成不全患者の股関節外転筋の弱化を報告したものです。

実際多くの文献では股関節外転では中殿筋より小殿筋の方か活動が多いとされています。(室伏ら, 201610)
そして、この小殿筋が股関節の安定化の大きく寄与しているとされています。

中殿筋は外転筋の一つというもので、この中殿筋のみが弱いから悪いというわけではなさそうですね。

股関節の外旋でも少し書きましたがこの小殿筋には外転の作用もあります。

小殿筋に関してはBeckら, 200011のThe anatomy and function of the gluteus minimus muscleがわかりやすかったです。
また、小殿筋の停止部は関節包との連結があり
股関節外転時に大腿骨頭を臼蓋に引き込むような作用があります。Walters, 200112

Walters J, Solomons M, Davies J. Gluteus minimus: observations on its insertion. J Anat. 2001 Feb;198(Pt 2):239-42. doi: 10.1046/j.1469-7580.2001.fig4から引用

小殿筋の過緊張や萎縮が起こってしまうと関節包を持ち上げる作用がなくなり、
外転時に大腿骨頭を臼蓋に引きつけることができないことが考えられますね。
小殿筋の機能維持は股関節の外転動作では必須になってきそうです。

また、中殿筋と小殿筋と大腿骨の間には滑液包(中殿筋・小殿筋滑液包)があり、
これらの滑走性が悪くなることで疼痛や機能不全が起こることも想定されますね。
転子滑液包炎症候群などはこの病態の一つですね。

さてさて再びやってきました。
股関節外転でよく大腿筋膜張筋が問題にされることとして、
・中殿筋や小殿筋の機能低下により大腿筋膜張筋が過度に使われてしまい、その結果腸脛靱帯が緊張してしまう
・エクササイズで殿部ではなく大腿部の外側に負荷がきてしまう。

大腿筋膜張筋と殿筋群(大殿部上部線維と中殿筋)のアクティベーションを割合をエクササイズ別に調査した文献がありました。13

考えてみるとすごくシンプルなもので様々なエクササイズを行い、どのエクササイズが一番殿筋群を活性しつつ、大腿筋膜張筋の活動を抑制できるかというものです。
結果は下の表になります。
上に行くほど殿部の活動が多い+大腿筋膜張筋の活動が少ないエクササイズとなり、
下に行くほど殿部の活動が少ない+大腿筋膜張筋の活動が多いとなります。
(実際には解釈の仕方は少し異なりますが…)

Selkowitz DM, Beneck GJ, Powers CM. Which exercises target the gluteal muscles while minimizing activation of the tensor fascia lata? Electromyographic assessment using fine-wire electrodes. J Orthop Sports Phys Ther. 2013 Feb;43(2):54-64. Table2を引用・翻訳

この結果から私が考えることとして、
身体が安定するほど殿筋群に刺激が入りやすく、不安定になるほど大腿筋膜張筋で代償してしまうのではないかと考えています。
代償動作や過緊張を取り除くことが殿筋群の活動を高めて、大腿筋膜張筋の活動を抑制することになるのではないかと思います。

機能解剖的な考察をすると、
骨盤の前傾前方回旋(腰部伸展)や股関節の屈曲拘縮が大腿筋膜張筋を優位に収縮されやすいポジションになることが原因だと考えています。
この原因は様々だと思いますが、
姿勢不良・長時間の座位姿勢に股関節の屈曲拘縮・広背筋の過緊張・腹筋群の弛緩・肋骨外旋などたくさん考えられます。

しかし、、、
骨盤の前傾/後傾と股関節外転筋群の文献を探してみると相関はないとされていることが多いです。
Herrera MC,ら202114
(なかなか自分の思った通りの文献はないものですね…)

私が考えることとして、
骨盤帯のニュートラリティを手に入れることが大腿筋膜張筋の過緊張を抑制し、中殿筋や小殿筋が適切に収縮できるようになるのではないかと思うのです。

そして、エクササイズを処方する上では
1. 代償動作や過緊張が起きない負荷設定
2. 骨盤のニュートラリティを確保する
3. それぞれの筋が適切に収縮できる
状態環境を作る

が大切になってくるのではないかと思います。

↓↓ここからは個人的に気になることを考察↓↓

ここからは個人的に気になることをつらつらと考察していく章に突入します。
1. 梨状筋症候群を考える
2. 股関節の内旋制限を考える
3. 股関節の運動連鎖を考える
4. FAIを考える
5. 股関節にハマるとはなんだ?
6. お尻のグリグリはどうなのか?

エビデンスを考察したり、バイメカ的に考察したりしてます。

色々思うことはあるとは思いますが、私の一つの考察としてご覧ください。
ではお楽しみください。

1. 梨状筋症候群を考える

梨状筋症候群とは
梨状筋が過緊張や肥大・短縮固定されてしまうと坐骨神経を圧迫してしまい起こる症状のことを指します。
この梨状筋症候群ですが、実は色々な走行パターンが存在しているそうです。
1番有名どころで行くとBeatonの分類でしょうか?15

Beaton LE, Anson BJ: The relation of the sciatic nerve and of its subdivisions to the piriformis muscle . Anat
Rec. 2005, 70:1-5から引用

いろんな種類が実はあるんですねー笑

さて、ここからは私の考えですが、
梨状筋が悪いと思われがちですがそうではないと思うのです。
もちろん、梨状筋の形態変異が坐骨神経を圧迫してしまうことには違いないと思うのですが、
この梨状筋は頑張りすぎた結果問題が起こってしまうと思うのです。

ではなぜ頑張る必要があったのか?
これを考えることが根本的な解決につながるのではないかと考えています。

1. 骨盤の前傾前方回旋によって梨状筋の起始と停止の距離が近づいてしまい優位に使われやすい
(力-長さ関係)


2. 補助的な外転作用にも関わらずに主要な外転として働いてしまう

3. 脳機能不全 (PMRF)

ではそれぞれ考えていきましょう。
1.骨盤の前傾前方回旋によって梨状筋の起始と停止の距離が近づいてしまい優位に使われやすい
(短縮位固定と力-長さ関係)

骨盤の前傾前方回旋+大腿骨外旋が合わさることで梨状筋の相対的な距離は短くなることが考えられます。つまりは短縮位になりやすいと言うことです。
もちろんその状態で常にいれば常に収縮を起こした状態になることが考えられ筋が緊張や肥大することが考えられます。
また、少し短縮位になることで力-長さ関係で言うところ梨状筋が収縮しやすいポジションになり過度に使われ筋肥大することも考えられるのではないかと思います。

2. 補助的な外転作用にも関わらずに主要な外転筋として働いてしまう
外転筋としての主要な筋は中殿筋・小殿筋・大腿筋膜張筋です。
しかし、主要筋群が適切に機能しなくなれば補助的な外転筋群が働かざるを得なくなります。
この補助的な外転筋群の1つが梨状筋になります。
本来補助的な役割である梨状筋が過度に使用されてしまえば肥大してしまい、坐骨神経を圧迫してしまうことが考えられますね。
主要な外転筋群が適切に活動できる環境を作ることや筋そのものを活性してあげることが重要なのではないかと思います。

3. 脳機能不全 (PMRFパターン)
このPMRFとはPontomedullary Reticular Formationのことを指し、日本語では橋延髄網様体形成となります。
この部分に何か問題がある姿勢の特徴の一つとして
同側股関節の外旋があります。
脳のこの部分の活動不良が起これば股関節が外旋されてしまい、梨状筋が常に収縮した状態が作られてしまうことが考えられるのではないでしょうか?
つまり、脳機能の改善が姿勢に影響を与え、その改善が結果的に梨状筋にもつながる可能性があるのではないかということです。

もちろん他にも様々な要因があるとは思いますが、
根本原因の解決を狙うのであればこの3つはかなり重要なのではないかと思います。

2. 股関節の内旋制限を考える

股関節の内旋制限はいろんな障害につながりやすいとされていますよね。
実際の文献でも数多く取り扱われているかと思います。
Sekiguchiら, 201916の有名な文献では野球選手の股関節内旋制限は肘や肩の痛みと関連があるとされています。また多くの文献でACL損傷と股関節の可動域制限(内旋が多い)には関係があるとされています。VandenBerg, 201617など

私はこの股関節の内旋制限があることで一番のデメリットとして、
重心移動がうまくできない・支持側で地面を捉えることができない
と考えています。
この結果肩や肘の障害につながってしまったり、ACL損傷につながってくるのではないかと思います。

この重心移動ができないため右過荷重での慢性障害や左の制御不良による急性傷害が起こってしまうと考えられます。

例えば、
右重心位から左重心位へ重心移動を行うときに左にうまく体重移動ができないため重心が足部の外側方向へ逃げてしまったり、殿部が外側に移動してしまう可能性があります。

では、なぜ股関節内旋制限が起こってしまうのでしょうか?
要因としては様々考えられると思うのですが、
・疼痛
・関節包の過度な拘縮・緊張・弛緩
・骨の形状問題(pincerやcam)
・股関節周囲筋群の不良

・体幹部の不良
・寛骨の前傾前方回旋固定(股関節の外旋)
あたりが問題になることが多いのではないでしょうか?

私が思うこととして、
股関節の内旋制限は内旋制限をするべきだからそうなったと思うのです。

普段の姿勢にしろ、競技にしろ身体は最も効率的(楽?)な動きを行いたいはずです。
そして結果として股関節の内旋制限が起こってしまったと思うのです。

ということは、
根本を解決しようとすれば運動パターンや姿勢パターンを変える必要があると思うのです。

しかし、いきなりパターンを変えることはできないので、
不活性の筋を活性させる + 過緊張の筋を抑制させて骨のポジションを適切な位置に戻す→
運動を行い新たな運動パターンを認識させる

しかししかし、、、
人間というものはそんな単純なものではないはずです。
脳機能的な問題、習慣的な問題、精神的な問題などなどたくさんの可能性もあるはずです。
このような問題を包括的に評価・改善を行うことが結局大切なんだと思います。

3. 股関節の運動連鎖を考える

もちろんですが、
股関節の動作は骨盤と大腿骨のみで成り立っているわけではありません。

前回の記事で書かせてもらった足部の形状と股関節はすごく関係すると私は思います。
足部に関しての記事はこちらをご覧ください。



足部と股関節と考えれば私は
上行性・下行性運動連鎖が思い浮かんできました。
いわゆるOKCとCKCです。
股関節にフォーカスするのであればAF IR/ERであったり、FA IR/ERですかね?
(骨盤on大腿骨 or 大腿骨on骨盤)
ここを考えるのであれば、おそらく内腹斜筋や腹横筋を考えたいところではありますが、
今回は渋々割愛したいと思います。(次は体幹部の記事を書きたい!)

しかし、
皆様も現場や臨床でお気づきかと思いますが、
「こんなうまいこと身体は動いてねーよ!!」と笑
その通りなのです。

個人的にこの運動連鎖は
平常時に身体を最も効率的に維持できる連鎖
と考えています。

つまりは平常時以外ではこの運動連鎖からは逸脱するべきだと思うのです。
(片脚立位とか不安定な地面とか)

人は姿勢維持を行うときには必ず重心を支持基底面内に収めている必要があります。

人は外的環境や内的環境によってこの運動連鎖から逸脱し、身体のバランスを保とうとします。
それ自体はすごく自然な働きだと思うのですが、何か問題(例えば足部のアライメント不良など)があり、日常的に運動連鎖から逸脱した状態が続くとどこかに過負荷の状態が起こってしまいます。
それがどこかの疼痛や機能不全につながってしまうのではと考えています。

つまりは逸脱してもまた元のポジションに帰ってこれる身体を作ることが大切だと思うのです。

行ったら帰ってこれる身体…
つまりは各セグメントや連鎖的なニュートラリティを獲得することが大切だと思うのです。

この考察は建内宏重先生と樋口先生の姿勢と歩行の捉え方を参考にさせていただきました。
http://www.bookhousehd.com/pdffile/msm173.pdf
すごく読みやすく内容にも感動しましたので、すごくおすすめです。

4. FAI (femoral Acetabular Impingement)を考える

股関節屈曲位で前方につまり感が出る時に考えることとして
FAI(femoral Acetabular Impingement)でしょうか?

一体どの組織が挟まっているのでしょうか?
なぜ挟まるのでしょうか?

股関節の前方インピンジメントが起こる原因として考えられることとして、
過剰な骨形成が行われているパターンと軟部組織(疎性結合組織)が挙げられます。
過剰な骨形成といえばPincerとCam変形でしょうか?

この骨形態異常は私の力ではなかなかどうすることもできないので専門医にお願いするのが良いのではと思います。

そして、軟部組織の中で今回注目したいのは大腿直筋です。
一番最初に大腿直筋の反回頭について少しだけ触れましたが、
大腿直筋には3つの起始があります。
1. 下前腸骨棘(直頭/direct head)
2. 寛骨臼の上縁 (反回頭/reflect head)
3. 大転子の前外側面・深部の腸骨大腿靱帯と小殿筋の腱(Third head)

Tubbs RS, Stetler W Jr, Savage AJ, Shoja MM, Shakeri AB, Loukas M, Salter EG, Oakes WJ. Does a third head of the rectus femoris muscle exist? Folia Morphol (Warsz). 2006 Nov;65(4):377-80. PMID: 17171618.から引用 18


ここで大腿直筋がなぜこのFAIの原因になるかを考えると…
1. 股関節屈曲時に大腿直筋がうまく持ち上がらないため、引き込まれる
2. 縫工筋や大腿筋膜張筋との滑走性不良
3. 小殿筋の柔軟性不良

が考えられるのではないでしょうか?

これらの問題を解決することでFAIの改善につながる可能性があります。

問題になりやすいFAIですが、
骨性の問題から軟部組織など様々な問題が考えられます。
医師の診断やCT、MRIやエコー検査などを用いて様々な観点から評価し、治療していくのが良いのかと思います。

今回は私が常日頃参考にさせていただいている
リハノメ(https://www.gene-llc.jp)の熊谷匡晃先生の講義「股関節拘縮の評価と運動療法~機能解剖学に基づいた病態解釈から実際の治療まで!~」を参考にさせていただきました。

5. 股関節にハマるとはなんだ??

よく野球などで聞く文言として、
「股関節にはめろ!!」「股関節に溜めろ!!」
と聞いたことはないですか?

いやいや、大腿骨頭は臼蓋窩にハマってるだろう!!
(逆にハマってなかったらやばいんじゃね?)

ということを考えてしまう捻くれ者の筆者ですが、
これはどのようなことなのかを少し考えてみました。

まず、私の個人的な考えを書かせてもらいますと、、、
股関節に”ハマる”=大腿骨頭が臼蓋窩の適切なポジションにあり、適切な求心性の圧がかかっている状態であり、ニュートラルであること
と私は考えています。

まず私の中でのニュートラルとは簡単に言えば
行ったら帰ってこれること
(いってきますと言えばただいまと言わなければならないということです)

前傾したら後傾で帰ってこれる状態
前方回旋したら後方回旋で帰ってこれる状態

これができる状態がニュートラルであり、この状態を適切な筋緊張でコントロールできることを股関節が”ハマる”状態と言って良いのではないかと思うのです。

この”ハマる”状態を作るためには、
今までの章であったように
1. 股関節の過度な可動域制限がない(特に内旋が多いかな?)
2. 体幹部の適切な安定維持機能がある
3. 股関節の制御機能、または重心制御を適切に行える
4. 脳機能が遂行したい運動に対して適切に機能できる

5. 緊張のコントロールができている
6. 身体のGoとStopができること(大脳皮質・視床など/大脳基底核・小脳など)
これらのことが行うことができていれば”ハマる”環境を作ることができるのではないでしょうか?

6. お尻のリリースは果たしてどうなのか??

トレーナー「お尻硬いですね!!ゴリゴリしましょうか!!」
クライアント「あー効いてるわー」
トレーナー「どうですか?」
クライアント「動きやすい!!」

こんなやりとりよくないですか?


さて、これは一体どうなんでしょうか?

まずはお尻のリリースをよく行うパターンとして、
股関節内旋の可動域制限があげられるのではないでしょうか?

ここで先ほど出した表を思い出してみましょう。

股関節の内旋制限に関与している組織としてまず
坐骨大腿靱帯・梨状筋・大殿筋などの外旋筋
が挙げられます。
そしてこれらの組織は殿部の後面に位置していますよね。

つまりはお尻のリリースは主にこれらの組織の緊張を緩和していると言えるのではないでしょうか?

もちろん拘縮している部分を”グリグリ”することで可動性は良くなるとは思うのですが、
果たして根本的な解決になるのでしょうか?

私の考察としては先ほどの「股関節の内旋制限を考える」をご覧ください!!

まとめ

えらく時間がかかり、文字数も多くなってしまいましたが、
ここは最低限は抑えておきたかった部分です。

次には股関節の伸展・腹筋群・骨盤底筋群などを書いていきたいと思います。
まだまだ知らないことがたくさんありますね。ワクワクします!!

私自身まだまだわからないことだらけですし、
エビデンスを調べて、自分の考えなどを言語化してわかりやすく表現していこうと思う所存であります。

何か間違っていること、わからないことなどありましたらお気軽にご連絡くださいませ。

参考文献

  1. Gold M, Munjal A, Varacallo M. Anatomy, Bony Pelvis and Lower Limb, Hip Joint. 2022 Jul 25. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2022 Jan–. PMID: 29262200.
  2. Neumann, D. A. (2012). 筋骨格系のキネシオロジー: カラー版
  3. Gottschalk F, Kourosh S, Leveau B. The functional anatomy of tensor fasciae latae and gluteus medius and minimus. J Anat. 1989 Oct;166:179-89. PMID: 2621137; PMCID: PMC1256751.
  4. 見供翔, 市川和奈, 宇佐英幸, 小川大輔, 古谷英孝, & 竹井仁. (2017). 異なる運動方向への静止性股関節外転収縮が中殿筋前・中・後部線維の筋厚および筋腱移行部距離に及ぼす影響—超音波画像診断装置を用いた検討—. 理学療法科学
  5. Beck M, Sledge JB, Gautier E, Dora CF, Ganz R. The anatomy and function of the gluteus minimus muscle. J Bone Joint Surg Br. 2000 Apr;82(3):358-63. doi: 10.1302/0301-620x.82b3.10356. PMID: 10813169.
  6. Hodges PW, McLean L, Hodder J. Insight into the function of the obturator internus muscle in humans: observations with development and validation of an electromyography recording technique. J Electromyogr Kinesiol. 2014 Aug;24(4):489-96. doi: 10.1016/j.jelekin.2014.03.011. Epub 2014 Apr 13. PMID: 24788026.
  7. Lezak B, Massel DH. Anatomy, Bony Pelvis and Lower Limb, Gemelli Muscles. 2022 Aug 29. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2022 Jan–. PMID: 32491352.
  8. Taneja AK, Bredella MA, Torriani M. Ischiofemoral impingement. Magn Reson Imaging Clin N Am. 2013 Feb;21(1):65-73. doi: 10.1016/j.mric.2012.08.005. Epub 2012 Oct 13. PMID: 23168183.
  9. Mayes S, Ferris AR, Smith P, Cook J. Obturator externus was larger, while obturator internus size was similar in ballet dancers compared to nondancing athletes. Phys Ther Sport. 2018 Sep;33:1-6. doi: 10.1016/j.ptsp.2018.06.001. Epub 2018 Jun 2. PMID: 29886259.
  10. 室伏祐介, 岡上裕介, 中平真矢, 前田貴之, 永野靖典, 池内昌彦, & 川上照彦. (2016). 等張性収縮における小殿筋筋活動と中殿筋筋活動の比較―ワイヤ電極を用いて―. 理学療法科学31(4), 597-600.
  11. Beck M, Sledge JB, Gautier E, Dora CF, Ganz R. The anatomy and function of the gluteus minimus muscle. J Bone Joint Surg Br. 2000 Apr;82(3):358-63. doi: 10.1302/0301-620x.82b3.10356. PMID: 10813169.
  12. Walters J, Solomons M, Davies J. Gluteus minimus: observations on its insertion. J Anat. 2001 Feb;198(Pt 2):239-42. doi: 10.1046/j.1469-7580.2001.19820239.x. PMID: 11273048; PMCID: PMC1468210.
  13. Selkowitz DM, Beneck GJ, Powers CM. Which exercises target the gluteal muscles while minimizing activation of the tensor fascia lata? Electromyographic assessment using fine-wire electrodes. J Orthop Sports Phys Ther. 2013 Feb;43(2):54-64. doi: 10.2519/jospt.2013.4116. Epub 2012 Nov 16. PMID: 23160432.
  14. Herrera MC, Amasay T, Egret C. Lack of Correlation Between Natural Pelvic Tilt Angle with Hip Range of Motion, and Hip Muscle Torque Ratio. Int J Exerc Sci. 2021 Apr 1;14(1):594-605. PMID: 34055146; PMCID: PMC8136572.
  15. Beaton LE, Anson BJ: The relation of the sciatic nerve and of its subdivisions to the piriformis muscle . AnatRec. 2005, 70:1-5
  16. Sekiguchi T, Hagiwara Y, Yabe Y, Tsuchiya M, Itaya N, Yoshida S, Yano T, Sogi Y, Suzuki K, Itoi E. Restriction in the hip internal rotation of the stride leg is associated with elbow and shoulder pain in elite young baseball players. J Shoulder Elbow Surg. 2020 Jan;29(1):139-145. doi: 10.1016/j.jse.2019.07.004. Epub 2019 Sep 11. PMID: 31521523.
  17. VandenBerg C, Crawford EA, Sibilsky Enselman E, Robbins CB, Wojtys EM, Bedi A. Restricted Hip Rotation Is Correlated With an Increased Risk for Anterior Cruciate Ligament Injury. Arthroscopy. 2017 Feb;33(2):317-325. doi: 10.1016/j.arthro.2016.08.014. Epub 2016 Nov 10. PMID: 27840056.
  18. Tubbs RS, Stetler W Jr, Savage AJ, Shoja MM, Shakeri AB, Loukas M, Salter EG, Oakes WJ. Does a third head of the rectus femoris muscle exist? Folia Morphol (Warsz). 2006 Nov;65(4):377-80. PMID: 17171618.

.Solomon LB, Lee YC, Callary SA, Beck M, Howie DW. Anatomy of piriformis, obturator internus and obturator externus: implications for the posterior surgical approach to the hip. J Bone Joint Surg Br. 2010 Sep;92(9):1317-24. doi: 10.1302/0301-620X.92B9.23893. PMID: 20798456.

コメント

タイトルとURLをコピーしました